一目惚れ婚~美人すぎる御曹司に溺愛されてます~
 小さいスケッチブックと鉛筆、色鉛筆は持ち歩くようにしている。
 
 ――リセに着てもらうなら、どんな服がいい?

 その姿を思い浮かべただけで、うっとりした。
 アイドルのコンサート後の気分である。

紡生(つむぎ)さんに感謝しないと。こんなリフレッシュできるなんて思わなかったわ」

 一枚、描き終わったところで、中身が見えないくらいの生クリームが大盛りのホットチョコレートが出てきた。
 クロワッサンは表面が香ばしくてさっくりしている。

「おいしい……!」

 クレームブリュレはスプーンで表面の焦げたカラメルをパリッと崩し、口の中に入れた。
 とろりとしたカスタードクリームとバニラビーンズの香りが口いっぱいに広がって、二個三個は軽く食べられそうな気がした。

「さてと、続きを描こう!」

 スケッチブックを手にし、集中する。
 目に浮かぶのはさっきのショーで見たリセの姿。
 中性的なその顔立ち。
 挑発するような目とオリエンタルな美しさ。
 その姿を思い出せば、デザイン画を何枚でも飽きることなく、夢中になって描ける気がした。
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