一目惚れ婚~美人すぎる御曹司に溺愛されてます~
 イケメンというより、美人と言った方が、正しいかもしれない。
 メンズモデル以上の美人な男の人。
 目鼻立ちがくっきりとしていて、ハーフのような顔立ち、中性的で女性と間違えられそうだけど、挑発的な目が男っぽい。
 
 ――どうしよう、目が離せない。見惚れてしまう。
 
 私が今まで見た男の人の中で、一番綺麗な人――ずっと見ていたかったのに、ブーケで前を隠されてしまった。
 彼に私の邪な気持ちが伝わってしまったのかもしれない。
 
 ――彼に似合う服のデザインが思い浮かびそう。

 せめて、あと少しだけ!
 あと少しだけ、顔を見せてくれたなら!

「あのっ! 私の顔から、そのブーケをどかしてくれませんか」
「その不幸そうな顔をやめたらな。青い空をイメージして作ったワンピースが、雨色にしか見えないぞ」
「どうしてわかったんですか? このワンピースが、晴れた空を思い浮かべて作ったって……」
「伝わってきたから」

 ――伝わった。

 胸の奥がぎゅっとなった。
 雨が降っていても青空を思い出せるようにと、デザインしたワンピースの名は『ネモフィラ』。
< 8 / 260 >

この作品をシェア

pagetop