政略結婚かと思ったら溺愛婚でした。
「分かりません。でも、もっとしたい……です」
「ん、いい子」
 もう一度唇が重なるけれど今度は最初から、片倉に唇を甘く舐められる。

 そうされるとつい、緩く浅緋の唇が開いてしまって、また舌を絡められた。

「浅緋、舌出して」
 とても恥ずかしいけれど、そっと舌を差し出す。

 するとそれを音がするくらいに吸われた。
 痛くはないけれど、ちゅ……と濡れたような音が何度も寝室に響くのが、浅緋には恥ずかしい。

 この日は何だか浅緋がとろとろになるまで片倉は何度も何度もキスを繰り返したのだ。

──これって、練習?だったのかしら……?


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