「や……」
「いや……? 本当は気持ちいいくせに?」
 そう言って耳元に囁くとさらに中がギュッとする。

「締まったぞ。……嘘つき……」
「……っそんなこと、言わないでっ……」

 自分でも分かっている。
 こんなのは言葉遊びだ。割り切っている関係上のお芝居。

 いやだと言って振りをする相手に、いやじゃないんだろうと言葉を振る。
 それでお互いが興奮する単なるアイテムでしかない。

 その証拠に、吐き出すものを吐き出したら、片倉にもたれかかろうとする女性を退かせ、片倉はベッドから立ち上がった。

 シャワーを浴び、椅子に掛けてあったシャツを羽織る。

「もう……行っちゃうの?」
「部屋は朝までとってある。君は好きにしたらいい」
 ベッドの中から掛けられた声に、淡々と片倉は返した。

 お嬢様だという触れ込みで片倉に近づいて来たけれど、実際に寝てみたら、お嬢様もびっくりな奔放さだった。
 しかし、実際にそれなりの企業の社長令嬢なのは間違いはないようで、ホテルでのマナーも心得ている。