ずるすぎる幼なじみと甘々ふたりぐらし。

ううっ……。


「さ、さみしかったよっ……」


恥ずかしさを抑えて、正直にいってみる。

今度はどんな言葉が飛んでくるのか覚悟していると。


「……ん」


ポン、と頭の上に、伊緒くんの手。

……へ?

肩をすくめながら伊緒くんをそっと見上げると、いつになく口元をきゅっと閉じたまま、優しく私を見下ろしていた。

ずきゅん!!

そんな顔で見つめられたら私、心臓破裂しちゃう……っ。


「どこにも行かないよ」


そして、肩に手を回して自分のほうへ抱き寄せた。


「……っ……」


まるで、私のそばに居る。

そう言っているように聞こえて、単純な私は、ただ嬉しさに浸っていた。


──このときの伊緒くんの気持ちになんて、まったく気づかずに。
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