「おはようございます、優海様」
「おはよう、嬉々〜」
朝食をゆっくりと食べていると、リビングのドアが開くと嬉々が入ってきた。
「早いのね、いつもいつも」
「それが私の仕事ですから。優海様は遅すぎますし、マイペースすぎます。早くしないと学校に遅れちゃいますよ」
「……はいはい」
私、小桜 優海。地元では有名なお金持ち学校と呼ばれる花光学院に通う高校二年生。
私のお父さんは誰もが知っている小桜グループを束ねている社長である。ちなみに、新卒者が就職したいランキングでトップを誇っている……とテレビやら雑誌やらで聞いたことがあるが実際のところはわからないんだけど。
「早くしてください、制服にも着替えをしなくてはいけないんですから」
「わかってるよ、もう。嬉々はうるさいな〜」
私は「ご馳走様でした」と手を合わせると、自分の部屋へと嬉々と一緒に向かった。