若き海運王は初恋の花を甘く切なく手折りたい

《4》


 赤ワインを飲んで酔っぱらったから。ほろ酔い気分になっていたマツリカはカナトの手を拒めなかった。
 部屋に戻ったカナトは扉の前でマツリカを抱き寄せて深いキスをはじめた。繰り返されるキスはワインの味がする。マツリカは彼がキスをしながらドレスのスリットに手を入れたところで危機感を感じたが、時すでに遅し。彼のおおきくて繊細な指はマツリカの素肌を撫で上げ、太ももまで容赦なく辿っている。深い場所を暴こうとする彼の手にぞくぞくする感覚と唇をふやけさせるほどの濡れたキスで生まれた熱がマツリカを麻痺させていく。

「……マツリカ」
「ンぅ、カナトっ、ダメだって」
「最後までしないから。ただ、貴女を可愛がりたいんだ」
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