極上御曹司に見初められ、溺愛捕獲されました～一途な海運王の華麗なる結婚宣言～

３．思い出のプロポーズ

「一人でも平気か？」
「大人なんだから大丈夫です」
「変な男に付いていくなよ？　何かあったらすぐに連絡するように」

　恋人同士というよりも親子のような会話だ。
　わたし、そんなに頼りないかしら？

　わたしは去っていく翔一郎さんの背中を見送ってから、まわりを見回した。

「さて、何をしようかな」

　翔一郎さんにアプローチしていた女性の姿が消えて一息ついていた時に、翔一郎さんのスマートフォンが鳴った。
　それは仕事の電話で、翔一郎さんはすぐ部屋に戻ることになった。部屋に置いてあるパソコンが必要になったらしい。
　急いで電話番号やメッセージアプリのＩＤを交換して、今に至るというわけ。

　ちなみにセレブリティクイーンには専用のWi-Fiがあるので、日本で使っていたスマートフォンがそのまま使える。とっても便利だ。

「本当にもう一度セレブリティクイーンに乗れるなんてね……」

　大学の勉強や就職活動をしつつアルバイトをかけもちしていた日々が頭をめぐる。
　就職してからも必死で仕事を覚えて資格の勉強をして、旅の資金を貯めて。疲れてベッドに倒れこんだ夜もあったけど、今となってはいい経験だ。