ダークグリーンに魅かれて
マリー・ルイーズ
井の頭公園から、吉祥寺駅方向とは逆にゆっくり歩いて10分のところにそのカフェ、マリー・ルイーズはあった。山小屋風の可愛らしいカフェだ。拓巳くんがドアを開けると、カラン、カラン、カラン、と可愛らしい音が鳴った。

「叔母さん、お久しぶりです」

「拓巳くん~。ホント久しぶり。2ヶ月くらい来てなかったんじゃない?」

「そうですね。友梨香姉は?」

「休憩中なの。呼んでこようか?」

「別にいいよ。あ、この()、僕の彼女」

私が、えっ、という顔をする。いいから、という拓巳くんの視線。叔母さん、と呼んだ人の瞳、拓巳くんによく似ていた。

「そうなの、拓巳にもようやくそんな娘が。初めまして、よろしく。拓巳の母方の叔母の愛香・ルイーズです」

「こっ、こちらこそよろしくおねがいします。吉岡沙里と言います」

緊張気味に答えた。

「サリーちゃん?魔法使いサリー?」

さすが、拓巳くんの叔母さん、同じ反応をする。

「伸ばさないでくださいぃぃ~」

「どうして?可愛いじゃない」

心底不思議そうに、愛香叔母さんは言った。隣で拓巳くんがくすくす笑ってる。
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