クローバー

警告


東雲流星side


俺はこれでもかというほど散々泣いて、仲間と笑った後、気づいた。


あれ?あいつが居ない。


周りを見渡し探してもバカ笑いしている仲間の顔しか見当たらない。


どこに…、行った?


倉庫内を駆け回る。


どこだ?


どこだ?


あいつにはっ…、お礼と謝らなきゃなんねーのに。


しかし、文乃はどこにもいない。


視界に映るのは野郎の顔だけ。


倉庫内にいないなら…


最後の望をかけ、外へと向かう


泣き腫らした、顔に冷たい風が吹く。
その冷たさが今は気持ちがいい。


いた…!


俺の視線の先にはバイクに背を預けそらを眺める女がいた。


「あっ…。」


声をかけてお礼を言おうとした。ありがどよ!その一言が言いたかった。言いたくて、探していたのに…


その一言は…出なかった。


女の雰囲気があまりにも淡く、消えてしまいそうで…。


気をぬいたら、居なくなってしまうんじゃないか、そう思った。


俺はただ、黙って女を見守ることしか出来なかった。


女はそんな俺の心境を知ってか知らずか、
視線を空に向けたまま話かけてきた。


俺は、女の声にビクリとする。


気づいてたんだな。


「東雲さん。もう、仲間との話は終わったんですか?」


「東雲さんって…、それに口調も。なんかこそばゆいから辞めてくれ。」


「ごめん。私、怒るとつい口が悪くなって。もう今さらか…。じゃあ、東雲で。」


「なんなら流星でいいぜ!」


女はそんな俺に、ふっと笑う。


俺はポケーと、その横顔に見惚れる。
綺麗だ…。



…てっ!俺、さっきまで違う女好きだったんだよな?え!?俺ってたらしなのか!?





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