「そういう事にしておくよ。」


そしてまた、ふふふと笑い。


どこか悲しそうな顔をした。


まただ。また、その顔…。


「なー、文乃。お前…、お前はどうして、俺を見てそんな悲しい顔をするんだ?」


大きな瞳が、さらに大きく見開いていく


ただ気になって、理由が知りたくて聞いただけ。


興味本位だったんだ。



「流星、大切な物は以外と壊れやすいんだよ。」


空を見上げ、語るよう言葉を吐く。


淡く淡く…。消えてしまいそうに…。


俺はゴクリと息を飲む。


文乃がなにを言っているのか分からない。
でも、そんな事言える雰囲気ではない事くらいバカな俺でも分かる。


俺は静かに文乃の声を聞く。



「どうしてかなー。守りたいもの程守れない」


空を眺め、カラカラと笑う文乃。


文乃がなにを考え、何に対して笑っているのか分からない。


「肝心な所で、私はいつもダメなんだ。」


分からない。分からない。


なんの話しをして、お前が俺を通して何を見ているのか。


それでもっ、


こんなバカ俺でも、分かってしまう。


分かりたくないっ、


気づきたくないっ、


それでも言わずには居られなかった


おまえっ、


お前はっ…


「守れなかったのか?」


ヒュー、冷たい風が俺たちの間を通り抜けていく。


瞳が合わさる


真っ黒な瞳が、俺をみる。


しかし、その瞳の中にはただ黒が広がるばからりで、俺なんか映しちゃいない。


不気味なくらいに。


無意識に身体が拒む。


こいつは危ないっ。怖いっと。


俺とあまり年の変わらない女。


普段なら、そんな女を怖いとは思わない


でも、確実に今俺は思ったんだ


──────怖いと。


カタカタとなる腕を必至に押える。


文乃を見るだけで、精一杯だ。


文乃っ…、お前は一体っ!


響く。


女にしては低い声