カラフルハート


「か、鍛治くん……あの、我慢できない」

「え……」

「口も……触って、ほしい」


潤んでいく瞳とギュッと彼の制服を掴むことで、欲を抑えられなくなってることを鍛治くんに訴えている。


「……っ……それは反則だなあ」

「……、」


鍛治くんの形の良い親指が私の唇を、なぞるようにして触る。

視線を下げて私の唇を見ている目は、細くどこか色っぽくて。
ゾクゾクしてたまらない。


「天野さん、目が潤んでる」

「……だっ……て」

「その目は俺のことを好きな目だよね?」

「う、ん……」


唇を触られたままなので、うまく返事ができない。


「じゃあ、遠慮もしなくていいよね?」

「…え……」


鍛治くんはそう言って触れていた親指を外す。
整った綺麗な形の唇が近づいては、私の唇に重なった。


< 190 / 191 >

この作品をシェア

pagetop