カラフルハート


「天野さんは?」

「え…?」

「天野さんは俺に、嫌な緊張してる?」

「してないよ…!」


『私が緊張するのは、鍛治くんのことが好きだからだよーっ!』って叫べたらいいのに……そんな勇気は全然無くて。

まだ頑張り始めたばかりで玉砕するのは辛い。


「か、鍛治くんが、カッコいいからっ!」

「え〜、それ俺のパクっただけじゃん」


そう言って笑っている鍛治くんは、私のカッコいいをまるで信じていなかった。

たったこれだけだけど、すごい勇気出したのに……伝わってないとか……

鍛治くんは自分ですら自分の魅力に気がついてないんだ。

眼鏡をとって、髪を整えたら、それはもう誰もが振り向いてしまうほどだろうに。

その魅力は知られたくないとも思うのに、もったいないとも思ってしまう。


「ありがとう……」


私たちはその後お互いの連絡先を交換し、一緒に教室まで行った。

2年になって最初の頃に鍛治くんと教室まで行った時は、『えっ、君ら付き合ってんの!?』なんて一時男子の間で騒がれたけど、違うと知るや否や今では見慣れた光景になっているらしく、普通に挨拶だけされる。

元々男女共に仲が良くフレンドリーな学校なので、周りの目を気にせず鍛治くんと一緒に登校できて嬉しい。

まあ私の気持ちはきっとクラスの男子にもバレバレだろうから、ここまできたら開きなおってアタックするしかない!

まずはミッション、“連絡先を交換する”完了。よくできました。

今日の自分に、はなまる!


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