カラフルハート
ステージ1 連絡先を交換して下さい!


「しーずーくーっ!悪いんだけどまた髪お願いしてい?」


帰りのホームルームが終わると、誰もいなくなった教室にひょこっと顔を出す女の子。

事前に頼まれていた私は教室で彼女のことを待っていた。


「うん、今から放課後デート?」

「そ!雫が髪やってくれた日は、あいつ絶対“可愛い”って言ってくれんの!
もう救世主様だわ。本当に毎回ありがとうございます」


そう言って両手を合わせてお辞儀をしてくれる彼女は、1年の時にクラスメイトでムードメーカーのような存在だったミミちゃん。

学校が終わり、これから他校の彼氏くんとデートに行くらしい。

ここは自由な学校なために自由人が多く、みんなそれぞれファッションセンスにも個性が光っているので、個人的にオシャレの勉強にもなっていた。


「こちらこそ。私もアレンジするの好きだし、喜んでもらえて嬉しい」

「うん、だから雫ちゃんが一番可愛いのよ。天使なのよ」

「フフッ、何言ってんのさ。はい、ここに座って?」


冗談を言う彼女を自分の座席に座らせると、私は丁寧に髪を櫛でといていく。

ミミちゃんの真っ赤なインナーカラーはオシャレで、いつも触らせてもらえる度どんな髪型にしようかワクワクする。


< 3 / 191 >

この作品をシェア

pagetop