カラフルハート


あぁ、もっと鍛治くんの顔を見ていたいのに……

視界がぼやけて邪魔をする。


「どうしてかな?
けど天野さんが笑うと、こっちまで嬉しくなるし、天野さんが頑張ってると、俺も頑張らなきゃって思えるんだ」

「…っ」

「もちろん家族のためにも自分のためにも、頑張るつもりでここまで来たけどさ、やっぱりそれなりに不安もあったし、疲れることもたくさんあって。
そんな中で天野さんは、俺の生きる原動力みたいな……なんていうか、うまく言えないんだけど」


一生懸命伝えようとしてくれる鍛治くんに、再び涙が流れてしまう。

嬉しすぎて苦しくて、言葉も出ない。

ただ、この人が大好きだという気持ちが私の中に積もっていく。


「だから、ありがとう。
それに、こんな俺のことも認めてくれて」

「…う、ぅ〜……」


困る。胸がいっぱいで、今日もきっとまともに眠れない。
明日学校休みで良かった……


「あ〜!優くん、雫ちゃん泣かせちゃダメ〜っ」

「こら。邪魔しちゃダメだって」


心音ちゃんと大輝くんが近くに来て言い合いを始めるので、「ごめん、大丈夫だよ」と必死に声を振り絞ったのだった。


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