ひまわりが枯れるとき、ライオンは…
ライオンを知った時、ひまわりは…
「ただいま。」

「遅かったじゃねぇか。どうした。」

「ちょっと忘れ物して。」

「優、おまえ、ご飯どのくらい食える?」

「いつもと同じくらい。」

俺は、じいちゃんと二人暮らしだ。

シングルマザーだった母さんは俺が小さい時に死んだ。

「優、学校はどうだ?」

「普通だけど。」

「じいちゃん心配してんだぞ。中学の時のこともあるしな。」

「大丈夫だよ。あの時ほどガキじゃないよ。」

「そうか、そうか。あ、今日の味噌汁どうだ?しょっぱいか?」

「おいしいよ。いつも通り。」

「そうか、それは良かった。」

「うん。」

「なあ、優。」

「何?」

「じいちゃんとの約束、ちゃんと守れな。」

「…わかってる。」

「いい子だ。さて、じいちゃんごちそうさんだ。優、風呂沸いてるからな。」

「わかった。食器水に浸しといて。」

「わかった。ありがとうな、いつも洗ってくれて。」

「ご飯作ってもらってるし、食器くらい洗って当たり前だよ。」

「でも、ありがとうな。遅くならないように寝るんだぞ。」

「うん。」

俺は、母さんとの記憶がほとんどない。

父さんに関しては、なんでいないかすら知らない。

生きてるのか、死んでるのかもわからない。



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