ひまわりが枯れるとき、ライオンは…
ひまわりと出会った時、ライオンは…
俺の自殺は失敗に終わった。


あと一歩のところで誰かに引っ張られた。


すぐに電車が到着して、後ろに押されて乗って、学校まで来てしまった。




「あいつ、昨日の入学式来なかったよな?」


「目死んでない?」


「何あの髪の毛?!染めてる?」


「パーマもしてね?」


「やっば。」


なにやら、ずっと聞こえてくる。


恐らく俺のことだろう。


入学式を欠席したのは体調不良だ。


目つきが悪いのは寝不足だからだ。


髪の毛は親の遺伝だ。


なんて…説明するのもめんどくさい。


教室…出た方がいいか…。


俺は人がいないところへ行きたかった。


…屋上…いってみるか…。






立ち入り禁止の張り紙が貼ってある。


当たり前か。


?!


屋上のカギは壊れていて、俺は外に出ることができた。


景色は…まぁまぁだ。


誰もいない。


落ち着く。








『また死のうとしてる?』


声をかけられて振り返ると1人の女子生徒がいた。


『今朝のでこりなかったの?』


誰だ?


『質問に答えてよ。』


「…えっと…誰?」


『あ、ごめんなさい。自己紹介しなきゃだよね? 私同じクラスの高野陽葵李(たかの ひまり)よろしく。』


「…どうも…。」


『そっちも自己紹介しようよ。』




「獅子谷優(ししたに ゆう)…。」


『それで獅子谷くん、なんで今朝死のうとしたの?』


「…。」


『電車に飛び込もうとしてたよね?私が引っ張らなかったら獅子谷くん死んでたんだよ?』



「…高野さんだったんだ。俺のこと引っ張ったの。」


『すごくびっくりしたんだよ?目の前の人がいきなり線路に落ちようとするんだもん。』
  

「それは…ごめん。」


『それで?なんで死のうとしたの?』

 


「…言いたくない…。」


『…否定しないんだ…もう死なない?』


しまった…。




「それは、俺の勝手だろ?」



もうダメだ、誤魔化せない。


なんとなくそう思い、俺は開き直った。
 


『それは…そうだけど…』



「…人に迷惑をかけない方法を考えるから、安心して、それじゃ。」
 
めんどくさそうな人だ…早く逃げよう…。



俺が立ち去ろうとすると高野さんが腕を掴んできた。


『ちょっと待ってよ!』


「何?俺のことはほっといてよ…高野さんには関係ないじゃん。」


振り解こうとしても高野さんは離れてくれなかった。


『…関係ないかもだけど…死んで欲しくないの!!』


「なんで?」


『好きなの獅子谷くんのこと!』


…え?


『一目惚れしたの獅子谷くんに…だから死なないで欲しいの。』


…は?


「ちょっと、よくわかんないんだけど。」


『私もびっくり。一目惚れってあるんだね。』


この人は、なにを言ってるんだ?


「そうじゃなくて、今日会ったのが初めてだよね?」


『そうだよ。』


そうだよって…。


「初めてなのに、なんで?」


『だから、一目惚れって言ってるでしょ?』


「…そうなんだけど…。」


『好きな人に自殺なんてしてほしくないの。
立派な理由でしょ?』


「まぁ、そうだけど。」



『そういうことだからよろしくね。あ!そろそろ授業始まるよ。戻ろう!』



「うん…。」
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