虹色 TAKE OFF !! 〜エリートパイロットは幼馴染み〜
財閥令嬢

ハーレム


「ちょっと真理、どういうつもりなの?!」 

 九条くんのマンションを出て、真理の住むハーレム地区に向かう地下鉄に乗ってからも、私たちの言い争いは続いていた。

「うるさいなあ。いいじゃない、これでまあ兄のマンションに自由に出入りできるようになったんだから」

 真理はそっぽを向いて、言う。 

「だいたい、まあ兄は喜んでたじゃない。なんで私が理恵に怒られなくちゃならないの?」

 ニューヨークの地下鉄は想像していたよりずっと静かで、大声を出さなくても充分会話はできたけど、真理の態度がこんなだから、自然に声が大きくなってしまう。

「だからって……」

 真理の突然の提案に、九条くんはびっくりした様子だったけど、

「いや、俺はありがたいけど。フライトで何日も空けることが多いから、無人のまま放っておくよりは、誰か信頼できる人に住んでもらった方がずっといい」

 逆に乗り気になって、私に提案してきた。

「理恵さえ良ければ、お願いできないかな? なんなら給金込みでカードを渡すから、その範囲内なら理恵の好きに使ってくれていい」

 そう言って、アメックスのプラチナカードを渡された。何度も返そうとしたのだけど、九条くんは受け取ろうとしなかった。

「いやー、お金持ちは違うねえ。アメックスのプラチナをぽんとプレゼントなんて。ちなみに利用限度額はおいくらかしら」

「真理、あなたねえ……」

 車内には他にも乗客がいたけど、何を言っているのか分からない東洋人同士の口喧嘩には興味が無いらしく、皆そっぽを向いて知らん顔をしている。
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