再会した幼馴染に溺愛されています。

俺はバカを後にして目の前にある階段を一段ずつ降りていく。


降りるたびにある思いが胸をよぎる。


井出にはあんな風に言ったけど、果たして俺はアキと付き合えるのか?


心配はいらないのかも知れないが、今のアキを見るたびにその不安が襲い掛かる。


アキは俺のこと好きなのだろうか。
その確信すらない……。


一緒に帰れないとハッキリ言われたし、まあそのおかげでサプライズの計画も進むのだが……。


どういうわけか俺は何とも言えない胸騒ぎがしてならなかった。


とても嫌な予感がする。


足を止めた俺を囲むように広がっているコンクリートの冷たい壁が、俺を阻むような錯覚さえ感じた。


「邪魔だ、どけろ」


俺は自らの不安を切り裂くべく、独り言を発した。
思ったより声が大きかったか、階段中にその声は響いた。


ほんの少しだけスッキリした気がする。
もしも俺に不運や凶運が降り掛かろうとしてるのであれば、正面からぶっ潰してやる。


俺は冷静さを取り戻して教室を目指した。
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