再会した幼馴染に溺愛されています。

私はロッカーに近づくと汗を拭って、息を整える。


じゃないと嫌われそうだから。
少しでも女の子として見てほしいから。


「じゃあ今から電車に乗ってショップに行く。その後適当に時間を見て夕食を済ませるって事で良いか?」


「うん、良いよ。今日の事も誰と行くかもウチの親にも連絡しといたから」


私はその声を聞いた瞬間、ロッカーの影に身を潜めて口を押さえた。


冬馬の目の前にいる人は例のあの人だよね。
そっか……やっぱそういう事なんだ……。


「ああ、悪いな。あまり時間もないからそろそろ行くか。」


「はいはい。まずは駅まで行こっか!」


信じたくも無いし見たくも無かった。
最悪のタイミングだ……。


盗み聞きするつもりはなかったけど、この会話を聞いた途端に私の中の少しの希望は音を立てて崩れ去った。


今のってどう聞いてもデートの約束だよね。


今から二人でデートに行くんだ……。
それにあの話だともうあの娘の親も冬馬の事知ってるんだね。


私はその場で顔を伏せ息を鎮める。


自分の無力感に腹が立つよ。
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