同居人は無口でクールな彼
「準備は抜かりないね、のんちゃん」
「まあね!」
自慢げなのんちゃんがかわいい。
こんなにも漫画一直線なのんちゃんが、これまで漫画のことを秘密にできていたなんて。
今考えれば不思議なことだった。
「今日はたくさん写真撮らせてね、灰谷」
「それは、いいけど……」
恥ずかしいのか、灰谷くんの返事にいつもの切れがない。
確かに自分の写真が漫画の資料に使われるなんて、気恥ずかしいよね。
「灰谷って腹筋われてる?」
「俺、バリバリ文学系男子なんですけど」
「まあ、そうよね。灰谷、体鍛えてなさそうだし」
要所要所で、灰谷くんの傷をえぐっていくのんちゃん。
灰谷くんも気にしていたことなのか、地味にへこんでいるようだった。