同居人は無口でクールな彼



「じゃあ、ここで見学するように。15時頃に終わって、15時30分にはバスが出発するから、終わったらバスのところに集合すること」


先生の指示が飛んで、わたしたちは大人しく試合の順番を待った。


「あ、鈴香ちゃん。篠原出てきたよ」


真っ先に翔哉くんの登場に気づいた灰谷くん。

わたしたち3人は翔哉くんから目を離さなかった。


「鈴香ちゃん、空手のルールわかる?」

「よくわからないんだけど。今のは翔哉くんの方に点が入ったみたいだね」

「……篠原なかなかやるじゃん。初戦は軽く突破したみたいだね」


空手の詳しいルールは分からない。

でも、翔哉くんが強いことは分かった。


審判が持っている旗が次々と上がって、翔哉くんに得点が加算されていく。


そして、決勝戦まで勝ち上がった翔哉くんは――




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