同居人は無口でクールな彼
第5章 ドキドキな役割決め
季節外れの転校生がやってきた。
「灰谷優太です。今まで長野の学校に通ってました。よろしくお願いします」
転校生は人がよさそうな背の高い男子だった。
こんな時期に転校生なんて珍しいと思った。
年度初めの4月ならまだしも、1ヶ月も遅れてやって来るなんて。
何か理由があるのかもしれない。
転校してきた理由をあいさつで話さなかったから。
「灰谷くん、長野から来たんだ」
「灰谷でいいよ。名前は?」
「灰谷ね、了解。俺は工藤。工藤でいいよ」
廊下側の一番後ろが転校生、灰谷くんの席となった。
すぐに隣の席の子が話しかけている。
初めてのクラスなのに緊張する様子も見られなくて、とても社交的な人だった。