旦那様は征服者~慎神編~
結婚生活
そして、慎神と莉杏は結婚した。

たったの一ヶ月間━━━━

でもその濃い一ヶ月間が、二人をお互いに放れられなくさせたのだ。

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自分以外の人間と関わることを極端に嫌う、慎神。
男性相手は、特に━━━━

それが例え、宅急便の配達員でも……

「ほら、莉杏。
早く言わないと、親指もっと奥に突っ込むよ?」
「う…何も…品、物……受け取っただけ…」
「ほんとに?」
「はぁはぁ…うん…
慎神くんが、嫌がると思って何も話さないようにしたから…」
親指が解放され、肩で息をしながら答えた莉杏。

「そう…お利口さんだね!
いいよ、許してあげる。
でも━━━━━━」
「え?」
「カレーは明日、食べようね!」

抱き上げられ、ベッドルームに連れていかれた。

身体中、貪られる。
「莉杏、ほら…何て言うんだっけ?
僕を安心させて?」
「慎神くん…大好き…」
「うん」
「慎神くんと、一生一緒にいたい……」
「うん、ほら…もう一声……」

「慎神くんがいれば、何もいらない……」

「フフ…いい子!
僕も、莉杏と一生一緒にいたい!
莉杏しか、いらないよ……!」
そう言って、口唇を重ねた。

夜が更けて、目が覚めた莉杏。
慎神の心臓の音が、ドクン、ドクンと聞こえている。
顔を上げると、慎神の綺麗な寝顔があった。
「慎神くん、綺麗…」

莉杏は、慎神の上に覆い被さり抱き締められて寝ている。
いつも莉杏が目が覚めると、この状態だ。

ゆっくり慎神から下りようと、もぞもぞすると抱き締める力が強くなった。
「え……」
「莉杏、どこ行くの?」
パチッと慎神の目が開き、低い鋭い声がベッドルームに響く。

「どこって、隣に横になろうかと……」
「は?ダメだよ」
「え?でも、重いよね?私、慎神くんの上に乗ってるんだし」
「上に乗っててほしいから、わざわざこうして抱き締めてるんだから!それに、莉杏の重みが安心するんだよ」
「息苦しくない?」
「そこまで莉杏は、重くない」
「わかった。このままでいるね」
「うん、よろしくね」

慎神の胸に耳を当てた、莉杏。
「慎神くんの心臓の音、心地いい…」
「フフ…そう?」
「莉杏、暖かい…」
「フフ…そう(笑)?
…………ふわぁぁ~」
「寝る?」
「うん…」
目をトロンとさせ、慎神がつけている十字架ネックレスを見つめていた莉杏。次第に目を閉じ、寝息をたてた。

「莉杏…?」
「………」
「寝た?」
慎神はフフ…と微笑んで、莉杏を抱っこしたままゆっくり起き上がった。
莉杏の肩に、シーツをかけた。
サイドテーブルに手を伸ばして煙草を取る。
煙草を一本咥えて、火をつけようとする。

莉杏がごそごそと動いた。
「ん?莉杏?」
「し……じん…く…好き…」

「………」
慎神は思わず、咥えていた煙草を落とした。
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