翌日の土曜日、放課後。
案の定、千絵は真人くんとデートだと言った。自転車を一度家に置いて、お昼ご飯を食べてからの待ち合わせらしい。彼の私服姿が楽しみだと浮かれていた。
「まーりちゃんっ」
校門を出てすぐ目に飛び込んできた弾けた笑顔に、私の目が弾け飛ぶ。
「ゆ、優也くん!待ち合わせ、駅だって言ってなかった!?」
「なんかすんげえ早くホームルーム終わったから、待ちきれなくて来ちゃった」
額に滲む汗、前後に動く胸板。自転車を飛ばして来たのだろう。
「駅前のコンビニで、涼んでいればよかったのに」
ハンカチを渡す。彼は「やっさしー」と言って素直に受け取った。
第二ボタンまで開けた半袖シャツから覗く、きらきら光る鎖骨。
「だって、一秒だって早く会いたかったんだもん」
眩しすぎる笑顔に、私は目を細めて笑う。