セーラー服には夏が一番似合うし、半袖が最高に可愛いと思う。やっぱり海で働く人たちの服を真似て作ったからだろう。だって海と言えば夏だ。

 ああ早くこないかな、夏休み。そんなことを思いながら毎日を過ごす。


 七月の頭に真人くんと優也くんと会ったあの日以来、私と千絵はカラオケを訪れていない。
 本当は行きたい、行ってずっと歌っていたい、ものすごく。
 でも行ってはいけないんだ。

 何故ならば、間近にテスト週間を控えているから。


「もー最悪!今回のテスト範囲広すぎじゃない?」

 土曜日の放課後。「勉強がてらランチしよう」と千絵に誘われ、学校付近のファミリーレストランに足を運ぶ。ドリアをペロリと平らげた彼女は、教科書を流し見る。

「千絵はとりあえず数学に集中しなよ。赤点取ったら補習受けなきゃだよ」
「補習は嫌だぁっ。夏休みになってまで学校行きたくなーいっ」
「そうだよ、遊ぶ時間減っちゃうじゃん」

 私は最後のパスタを巻き取り言った。

「夏休みはさ、海行こうよ、海」
「行く行く!真莉水着持ってるの?」
「一応あるけど中学の時から使ってるやつだからちょっとなあー。新しいの買いたいな」
「私も!じゃあ一緒に買いに行こーよ」
「うんっ」
「トレンドの水着はねえ……」

 閉じた教科書の代わりに今度はスマートフォンを開き、最新情報をチェックし出す千絵。

「お。今年はストライプがきてるらしいよー」

 こんなんで勉強進むのかね。ってそう思いつつも、空になったパスタの皿を通路側に()けた私もちゃっかりスマートフォンで水着を検索してしまっている。

「見てみて千絵っ。スカイブルーのやつ可愛くないっ?」

 べつにテストで満点を取りたい気持ちもないから、努力をしたいとも思わない。