「俺は何をしているんだ……」



彼女が居るであろう場所に向かいながら、無意識に呟いた。


元々あった予定を変更し、強引にスケジュールをねじ込んだ結果、俺は今――ニューヨークに来ていた。


9月なのにまだ暑さが残るせいで、スーツの中に熱が籠っている。

だけど、ジャケットを脱ぐ時間すら惜しいと思うくらいに、俺は急いでいた。


――彼女とすれ違ってしまっては、ここまで来た意味がない。


もちろん、プライベートな理由で仕事の予定を変更するわけにはいかないので、ちゃんと仕事の予定は入れてあった。

長期休暇なんて俺の立場で簡単に取れるはずがないし、わざわざ出張に行くのに、何も理由がないというわけにはいかなかったのだ。

だから仕事はしっかりやった。


とある企業にコラボ企画をしたいという案を提出し、無事にその商談をまとめてきたばかりだ。