私、香坂裕子が八木君と付き合うようになって3か月がたとうとしていた。


私と亮太郎の美男美女カップルがただの従兄妹だったと分かって以来、私たちの周りは騒がしくなっていた。

亮太郎はこれまで形を潜めていたファンらしき女子社員にここぞとばかりにもうアタックをかけられていた。
どうするのかと思っていると、亮太郎は「付き合っている人がいるので無理だ」と断り、
「香坂さんとは従兄妹と聞きました」と言われると、
「香坂優子が彼女だと言った覚えは一度もないが?」と言い放っている。
これがまた波紋をよび、私の周りにどういうことかと聞きに来るという、めんどくさいことになっていた。
そんな個人情報言えるわけがない。しかも私も初耳で問いただすと、
「優子に言えば親に伝わるのが分かっていて言うわけがない」などと腹立たしいことを言われた。


私はというと、毎週ノー残業デーには誰かしらに食事に誘われ、金曜日には飲みに誘われていたのだ。
その都度、「先約が」とか「仕事が終わらなくて」とか「習い事が」と断っていたのだが、最近は「お酒を飲むと従兄が心配しちゃうから」という苦しい言い訳を使い始めていた。
「俺と付き合っているからと言ってくれればいいのに」と八木君はいらいらしていたけど、まだ付き合って3か月。みんなに公表するにはまだ早いと思う。



そんなある日、何度断られてもめげない猛者が現れた。

「心配されるのであらば、口田課長もご一緒に」
と言ってきたのだ。

断り切れなくなって了承すると、「俺も」「俺も」と人数が増えた。

話を聞いて心配した八木君も参加することになると、八木君とお近づきになりたい女性陣も参加すると言い出した。

冷徹人事課長の亮太郎ファン達は断られたにもかかわらず、参加することになった。

加えて酒好きの社員たちが面白がって参加することになり、大宴会が開催されることになった。