ズルい男に愛されたら、契約結婚が始まりました


「すまない。チョッと整理させてくれ……」

友哉は頭の中でひとつひとつ情報を整理していった。
つまり、航大の子供の母親は、真理恵の中学時代の友人の藤本佳奈。
だが、藤本佳奈は去年の暮に亡くなった。
友哉が会ったのは佳奈の妹で、航大の子どもの居場所は現在わからない。

「……あのマンションに、いないのか?」

「すみません。私のミスです。あれから白石家に対して金銭の要求もないし、友哉もカイロから帰って来られなくなったから放置してしまいました」

「俺もあれっきりだったから仕方がない」

三上も友哉も後悔する気持ちは同じだ。

「真理恵さんの話を聞いて、慌ててマンションへ行ったら部屋が売却されていたんです」

三上が調べたところ、藤本家は家族四人であの分譲マンションに暮らしていたが、父親が亡くなってからは母親と双子の姉妹の三人家族になていた。だが佳奈が子供を産んで、また四人家族になったらしい。
佳奈が十二月に亡くなって、年が明けてすぐに母親と妹と子どもは引っ越している。
マンションの管理会社も、行き先までは聞いていなかった。

「現在詳しく調べていますが、なかなか確認できません」

「私もお友だちに聞いているんだけど、佳奈さんの妹のことは誰も知らないみたいなの」
「八方塞がりか」



< 34 / 96 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop