ズルい男に愛されたら、契約結婚が始まりました
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ジューンブライドという言葉に憧れたのは、いつの頃だったろうかと瑠佳は考える。
六月の気候はジメジメとしているから、結婚式には向かないと思っていた。
でも梅雨の晴れ間は抜けるような青空が広がって、そんな日のお式はいいものだなと考えを改めた。
都内の教会では、今まさに雨上がりの晴れた空の下、ライスシャワーが舞っていた。
教会正面のドアから出て来た新郎新婦に、お米を小さなチュールに包んで細いリボンで結んだものを振りかけている。
それが太陽の光に輝いて見えるのは、細かなスパンコールを縫い付けているからだろう。
「おめでとう!」
「お幸せに~!」
「やったな~!」
親戚や友人達からの祝福を受けて、三上仁と真理恵は嬉しそうだ。
真理恵が『たくさん子どもを産む』と宣言したので、妊娠してからでは遅いということになった。
ふたりの結婚話は超スピードで決められて、真理恵はジューンブライドになった。
今日の祥太は、蝶ネクタイ姿だ。
三上の親戚の女の子とリングボーイ、フラワーガールの大役を仰せつかっていたから、髪の毛もきっちり七三に分けられている。
小さな紳士は出席者の中でも超人気者だ。あちこちから『カワイイ』の声が掛かっている。
今日は瑠佳の母が祥太の近くでずっと見守ってくれていた。
「祥太、決まってるな~」
「ええ、お兄ちゃんになるんですもの」
新郎新婦から少し離れた場所に立って、瑠佳と友哉は我が子を見守っている。