一途な御曹司は溺愛本能のままに、お見合い妻を甘く攻めて逃がさない
9章:現在まで①

 結婚してから華やかな場に呼ばれることが増えたし、一年近くたってやっと大規模なパーティーにも慣れてきた。ただ、ヨーロッパのどの言語もある程度話せるようになったが、やっと日常会話程度といったところなので困ることも少なくない。

 今日はイタリアで一番大きな製薬会社が主催のパーティーで、ローマ市内のホテルの大きな会場に200名くらいの参加者が集っていた。

 パートナーと参加することが決まっているので、私が鷹也さんの役に立てるなら嬉しいけど、足を引っ張ってしまいそうでもあって、やっぱりいつも緊張する。
 しかも、今日は、非常に怖いが心の支えにはなってくれている城内さんがいない。

(城内さん、なにをやっているんだよぉ……)


 そんな心配の中だったけど、鷹也さんが選んでくれていたドレスに身を包むと少し安心した。
 鷹也さんと会場の前で会うと、鷹也さんは甘く蕩けそうな勢いで目を細める。

「似合ってる」
「あ、ありがとうございます。鷹也さんいつも私にぴったりのサイズよくわかりますね」

 私が言うと、
「そりゃ毎日あれだけ抱き合ってたら誰でも……」
「ふぁっ!」
と言いかけて私は慌ててその口をふさいだ。

 日本語だから聞かれていないと思っても、公共の場でそういうことはさらりと言わないでほしい。
 いや、二人の時でもだめだが。

 二人で会場入りすると、会場はいつも以上に華やかだった。
 どうやら、イタリアだけでなく、アメリカの最大手、つまり、世界一の製薬会社であるのソフラル会長とご引退された前会長もいらしているらしい。

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