second love secret room クールな同僚医師の彼に溺れる女神:奥野医師&橘医師特別編完結
【Okuno side 11:消し去るべき邪魔者は誰?】



【Okuno side 11:消し去るべき邪魔者は誰?】


病院仕事始めの日。
あたしと寺川部長との、決して公にはできないはずの交際内容を橘クンに聞かれてしまった。
それを聞かれたことで、あたしは彼に間違いなく軽蔑されたであろう。
あたしはそれをきっかけに、今まで以上に仕事に没頭しようを自分に言い聞かせる。


その日の外来診察。


「カウンセリング、早速、受けてみました。」

産後1か月検診で産後うつになりそうだと判断した経産婦さんに臨床心理士によるカウンセリングを勧め、その後の経過を確認していた。

「臨床心理士の先生が親切丁寧に想いを聴いて下さって、ちょっと楽になりました。ご紹介して下さってありがとうございます。」

『そうですか・・・それは安心しました。産後もいろいろと不安になったりしますからね・・』

「だからもう少しカウンセリング、続けてもらおうと思っています。」


そう言って小さく笑った彼女。
快方に向かいそうと胸を撫で下ろすのと同時に、改めて臨床心理士による産婦人科領域での介入の必要性の高さを感じずにはいられない。

それは経産婦への介入だけでなく、妊婦にも当てはまること
陣痛、分娩に対する不安はもちろん、検査技術の向上からどんどん発展している出生前診断に関することまで、臨床心理士の介入は必要不可欠だ

妊婦、経産婦ともに、一番身近にいるのは助産師、看護師だけれども、
うちの病院みたいな規模の大きい病院だと、受診者も多く、助産師達だけでは充分なココロのケアが難しい現状がある

だから、ココロのケアの専門家である臨床心理士の手も借りたい

でも、現状、こうやって産婦人科領域で臨床心理士が介入してくれているのは、寺川心療内科部長が配慮してくれたから

心療内科だって臨床心理士の存在は必要不可欠
本当はその領域での臨床心理士の介入の機会をもっと増やしたいはず

もしかしたら、あたしが寺川部長との関係を拒んだら
現在、産婦人科へ介入してくれている臨床心理士を撤退させると言い始めるかもしれない
それに、どこか頼りないうちの産婦人科部長がそれを阻止するだけの権力なんかない


『少しだけ時間あげる・・・か・・・・』


そもそも、臨床心理士の産婦人科領域介入を始めたのはあたしが寺川部長との関係を利用した節もある
綱渡りな現状を招いたのも、他の誰でもなくあたしなんだ


『時間を貰っても、消し去る相手はいないのに・・・』




恭のこと、本気で好きになりそうだった
本気でそうならなくて良かった
もしそうなったら間違いなく恭を巻き込むことになる
もし彼を巻き込んでしまったら、寺川部長は彼に何をし出すかわからない

でも、唇を噛んでいるように見えた橘クンを見てしまった時、
改めてあたしは臨床心理士介入の件で自分は間違ったことをしてしまったと感じずにはいられなかった


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