second love secret room クールな同僚医師の彼に溺れる女神:奥野医師&橘医師特別編完結
【Tachibana special side 1:1番目vs2番目】


【Tachibana special side 1:1番目vs2番目】


『もしもし・・・・お忙しい中、申し訳ありません。私、名古屋城北総合病院NICU医師の橘と申します。』


正月明け。
奥野さんと出掛けた初詣の帰り、病院玄関に停めた自分のクルマを目撃していたらしい看護師の上野さん。

彼女にその目撃談をダシに、半ば無理矢理に約束を取り付けられた昼食時のカフェテリア。
俺は上野さんに導かれて奥野さんが座っている席の背後に座った。

そこで、奥野さんと心療内科の寺川部長のとんでもない話を耳にした。
それは、産婦人科領域で従事している臨床心理士の従事継続を求めている奥野さんに寺川部長がそれを認める代償として不倫関係の再開を迫っているらしいということ。

初詣に行った元日の夜。
新しい恋を見つけなきゃ・・・恭のことを本気でスキになる前に・・と呟きながら眠っているフリをしていた俺の前から消えた奥野さん。

これが彼女が言う“新しい恋”なのか?
再び彼女は自分のことを“自ら堕落していった女”と呼ぶような恋を始めようとしているのか?

まだ彼女のことが好きな俺は、自分勝手かもしれないけれど、やっぱり納得できない
彼女が仕事のために、修羅場に自分を曝した男に再び自分のココロとカラダを差し出すなんて絶対に納得できない

俺のそんな想いをなんとかしたい一心で、電話をかけ始める。


「橘先生・・・ですか?」

『ええ・・橘です。』

「陽菜の主治医をして下さっている・・・あの・・」

『橘です。御無沙汰しております、日詠先生。』


俺はその解決の糸口を、まさかの相手である、南桜病院の産婦人科医師である日詠さんから見つけようとしていた。


「あの・・・陽菜に何かありました?」

『いえ・・陽菜ちゃんは順調なんですが・・・』


NICU(新生児集中治療室)へ、ベビーの面会に来たお父さんのようなその反応。
彼がどこにでもいる普通のお父さんになっていることに時の流れを感じずにはいられない。

学生時代の俺にとって、
奥野さんからスキという想いを寄せられているのに、他の女に拾われるような情けなくてふざけるなと思わされていたこの男。

そんなこの男に

『私事で申し訳ないのですが、日詠先生にご相談させて頂きたいことがありまして・・』

まさか自分が頭を下げて相談をお願いする日が来るなんて思ってもみなかった。


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