second love secret room クールな同僚医師の彼に溺れる女神:奥野医師&橘医師特別編完結
【Tachibana side 6 : 彼女の隣で聞いた除夜の鐘】



【Tachibana side 6 : 彼女の隣で聞いた除夜の鐘】



「橘先生、クリスマスイヴだけじゃなくて、大晦日の今日も当直だったんですね。」


ER(救命救急センター)の研修医から、小さなおもちゃを誤嚥した6才男児の処置が難渋しているから助けてほしいとコールがあり、その処置を終えてNICU(新生児集中治療室)へ戻ろうとした時に声をかけられた。
クリスマスイヴにも俺に声をかけてきた若手女性看護師の上野さんに。


『ええ、休暇希望が多く、自分は予定がなかったので。』

「じゃあ、仕事終わったら予定作りませんか?」


またか・・・
この前、はっきり誤解されたくない女性がいるって伝えたのにな
さあ、どうするか・・・


「上野さん、業務中でしょ?仕事に戻って!!!」

「師長・・・・」

「ほら、あと3分で救急車来るわよ!!!!」

「は~い。」


グッドタイミングでERの看護師長佐々木さんの声かけがあり、それに背くことができないであろう上野さんは渋々救急車出入り口方面へ歩き始めた。


「橘先生、すみません。上野だけじゃなく、うちの若い子達が積極的で・・」

『いえ。』

「でも間に合って良かった。」

『・・・間に合って・・・ですか?』

「NICUの佐藤さんから、あんたのとこのERの女性スタッフ達を、橘先生に業務以外で近づけないでよ・・って釘刺されていたから。」


佐藤さん、さすがです
NICUだけでなくERでも俺を助けてくれるとは・・・


「ま~・・・橘先生が早く身を固めてくれると、うちのスタッフ達が色めき立つことがなくなるんですけどね・・・」

『・・・色々すみません。』

「でも、その気になっているんでしょ?この前も上野の誘いをきっぱり断っていたのを耳にしましたから。」


近くに誰もいないと思っていたのに
佐々木看護師長、どこにいたんだ?
まあ、身を隠そうと思えば、エコー(超音波検査機)の陰になら隠れることもできるからな

『・・・あの時も佐々木さんに聞かれていましたか・・・。』

「ここは私が仕切っていますからね・・・来年こそは橘先生が公私ともに充実した1年になることを祈っていますよ・・ふふふ。」

『努力します。』


まさかの佐々木看護師長からの忠告&激励を食らったものの、上野さんからの誘いを断る手間が省けた俺は佐々木看護師長に深々と頭を下げて、NICUへ戻った。

NICUへ戻ってからも、注意して診なくてはいけないベビーはいるものの、特に想定外なことは起こらなかった。

「橘先生、私、診ているので休んで来てください。」

今日もありがたいNICU看護師佐藤さんからの声かけ。
俺はERの佐々木看護師長への忠告をしてくれた佐藤さんへお礼を言ってから、休憩に向かった。



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