second love secret room クールな同僚医師の彼に溺れる女神:奥野医師&橘医師特別編完結
【Tachibana side 7:悪友で親友のお節介】



【Tachibana side 7:悪友で親友のお節介】



大晦日の夜の屋上。
森村の独断によって奥野さんのLINEへ送信された日詠さんの結婚式動画。
それによって奥野さんがショックを受けるかもしれないと思った俺がその話題から彼女の気を逸らすために誘ったこと・・それは当直明けの初詣。

意外にも積極的な応答でその誘いを受けてくれた奥野さんが俺の電話番号を知らないと言い出した。
しかも電話番号を聞いていいの?なんて謙虚な言葉まで。

その反応もかわいすぎてまた緩みかけた口元をきゅっと締めた瞬間、病棟からの急ぎのコールが入った。
そのため、俺は電話番号を書き入れた名刺を渡して彼女よりも先に病棟へ戻った。


『佐藤さん、ドクターカーで搬送したベビー、何かありました?』

「いいえ。安定しています。そのベビーのお父さんが、夜遅いけど、ベビーに会いたいって来て下さったので、ついでに、橘先生に今後についての説明をしてもらったら・・と思いまして。」

『俺、明日休み・・・だからですよね。』

「ええ・・・しっかり休んでもらわないと・・と思いまして。面談して頂けますか?」

『ええ。そのお父さんもベビーのことをいち早くお母さんに伝えたいでしょうから。』


佐藤さんの誘導下ですぐさま面談室へ向かい、そのベビーのお父さんに診察内容と今後の治療方針について説明を行った。

面談前、そのお父さんは神妙な面持ちだった。
しかし、俺が説明した後に彼からの質問に対しできるだけ具体的かつ丁寧に返答していくうちにその面持ちは少しだけ穏やかになって、お母さんのいる産婦人科へ戻って行った。

その後、ERからコールが入ることなく、NICU全体も落ち着いていて、俺はいつもよりも眠ってゆっくりと過ごし、穏やかに新年の朝の当直明けを迎えた。



「無事に勤務終了。さて、行くか!」


今から奥野さんと一緒に初詣に行く。
昨晩は比較的よく眠れたから自分がクルマを運転していくつもりだ。
そのためにクルマを止めてある病院から徒歩5分の駐車場まで歩く。
俺は丁度通りかかったコンビニで飲み物を買ってから、再び駐車場へ向かって歩き始めた。


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