鬼弁護士は私を甘やかして離さない

エピローグ

ステンドグラスに囲まれた教会。
四季や時間によって表情を変えるその厳かさに魅了されてしまった。
何度か訪れるたびに、是非この教会で式をあげたい、と2人の意見が一致した。

パイプオルガンが鳴り響く中、祭壇の前で待つ恵介の元へゆっくりと父と歩みを進めた。

「真衣、なんて綺麗なんだ」

見てはいけないはずなのに恵介は待ちきれずブライズルームへ来てしまった。

ドレス姿の私を抱き締めると額にキスをした。

「まだ誓ってないから口はやめておこう」

ブライスルームに来ておいて、今更キスのことを心配するなんて恵介らしい。

「お腹は大丈夫か?」

心配症で私にどこまでも甘い恵介に私は恥ずかしくなってしまう。


あのあと事務所に報告するとみんなからはそんな気がしていた、と言われた。
咲坂は好きな子に意地悪したいタイプなんだと思っていたと冷やかされた。
私の恵介が刺された時の慌てようで、2人が付き合ってると思ったとも話していた。

事務所のみんなは付き合っていると思っていても私たちから言わない限り触れてこなかった。
やはりそういうところは大人だと思った。

私たちが改めて報告し、さらには妊娠してると言ったことで事務所のみんなは本当に驚いていた。
まさか咲坂がそんなに真衣ちゃんのことを囲い込もうとしていたなんて、と。
でも私を見る視線が日に日に変わっていったことはわかっていたから、とみんなからはニヤニヤ笑いながら言われてしまった。

「咲坂くんて本当に好きな子には意地悪するし、見た目に反して少年みたいな大人だよね」

「でもさ、昔から真衣ちゃんのこと好きだったよな。何かっていうとちょっかい出してたし。わかりやすすぎ」

そんな声ばかり聞こえてきた。
恵介は黙って外を見ていた。
否定も肯定もしないらしい。
その姿にみんなはクスクス笑っていた。

当の本人の私は、恵介からの視線にも何も感じなかったのに。

「真衣ちゃん、ちょっと男性不審なのかなって思うところもあったのにまさか咲坂くんに落ちるなんてね。でも咲坂くんはいい男だから幸せになって」

みんなからお祝いされ、見守られ今日花嫁になった。

あなたの誠実さに惹かれ、私はあなたの妻になれることを幸せに思います。

あなたの子供を産み、一緒に育てていける未来を楽しみに思います。

私は今日、咲坂真衣になります。


END
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