かけて、其れ切り
帰り道
 私の家は校区内でもかなり端っこ。
 自宅から学校までは三キロ近い道のりがあって、それを毎日往復しなくちゃいけない。
 暑い時期は本当にしんどくて、持参した水筒の中身なんてすぐに空っぽになってしまう。
 そんなとき、私たち長距離登下校組には秘策がある。

 ここのお店は店番がご主人の時は外にある立水栓(たちすいせん)から水を飲むことを快諾(かいだく)してくれる。

 ここのお宅は、最初お庭のガーデニング水栓からお水を飲ませてくれていたけれど、最近はおばあちゃんが家の中に上げてくれて、お菓子や冷たい麦茶を振舞ってくれる。代わりに私たちはその日学校であったことを聞かせてあげたり、おばあちゃんのお話を聞かせてもらったり、お互いに目一杯お茶会の時間を楽しむことが出来る。

 通学路のあちこちに見つけた様々な給水スポットは、私たち遠方登下校組にとって、なくてはならないライフライン。
 上級生から教えてもらったり、または友達同士であそこは水を飲ませてくれるだの、あそこのお家は近づかないほうがいい、だのそんな情報のネットワークが、自然と出来ていた。
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