俺の気持ちに気づけよ、バ~カ!

桜ちゃんは大学生。

百合園財閥のお屋敷に住み

平日は、大学に通いながら
御曹司の世話役として働いて

土日はサッカーのコーチ。


将来は雨璃さんの片腕となるべく
期待され

そのための勉強にも
手を抜いていない。



忙しいよね?

たくさん寝たいよね?

彼女さんと
もっと一緒にいたいよね?


それなのに、
部屋に誘っちゃってごめんね。



でも……

でもでも……

桜ちゃんと二人だけで過ごせる
貴重な時間だから……

今夜だけは
私の部屋に来て欲しいです……




「姉ちゃん、ゲームは?」

亮くんが、私の隣で吠えている。


「コーチが良いって言ったら
 いいよな?」

諦めるつもりはないみたい。


悲しさに押しつぶされそうな私。


駄々っ子の相手をする気力は
もう残っていなくて


「……好きにしていいよ」

脱力で崩れ込むように

こたつの天板に
頬をぎゅーっと押し当てた。


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