私は今日も、虚構(キミ)に叶わぬ恋をする。
秘密
宝城先輩たちがやってきたのは、昼休みのことだった。

宝城先輩は私を見つけると歩いてきて、私の目の前に立つ。


「ねぇ、優星くんは?」

「……天文部の入部手続きがあるらしくて、佐原先生のところに行きましたけど」


不審に思いつつ、私は正直に答えた。


「そう。ちょうどよかった」


宝城先輩は、嫌な感じの笑い方をした。


「アンタ、昨日休んでたでしょ。なんで?」

「……少し体調が悪かっただけですけど、それが何か?」


不審に思いながら、私は聞き返した。
私の前に座る陽菜も、心配そうに様子を伺っている。


「ふぅん……それって、焔烈華が死んだのが原因?」

「!?」

(────なんで!?)


その名前が宝城先輩の口から出るとは思わなかったので、私は動揺した。

私の反応を見て、宝城先輩はニヤリとほくそ笑んだ。


「マジなんだ。漫画のキャラが死んだだけでショックで休むとか、ないわー」

「ちょっと、さっきから何の話ですか? ホムラレッカって、誰なんですか?」


陽菜が、不安げな顔で話に割って入る。

宝城先輩は、そんな陽菜をちらっと見ると、


「アンタ、光峰の友達? アンタもオタクなんじゃないの?」

「は? 深月もアタシも、漫画とかアニメとか、全然興味ないですけど。
何か勘違いしてませんか?」

「えー、知らないんだぁ?」


宝城先輩はくすくす笑うと、私にスマホの画面を見せつけた。


「これ、書いてるのアンタでしょ?」


そこには、私のサイトのトップページが表示されていた。
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