偶然から始まった恋の行方~敬と真理愛~
「実は、この子は私の甥にあたりましてね」
「え?」
やはり高城先生は知らなかったようで、驚いている。

「両親を早く亡くしたこともあって、私は自分の息子のように思っているんです。今は本人の希望もあっておじ甥の関係であることも隠していますが、ゆくゆくは私のあとを継いでくれればと思っています。何しろ私には子供がおりませんので、この子しか血縁がおりませんから」
「そう、でしたか」
少しだけ寂しそうな顔をした高城先生が俺とおじさんを交互に見つめる。

「敬と真理愛さんの交際は認めていただけませんか?」
「・・・」
おじさんの申し出に対する高城先生の答えは無言だった。

もし、高城先生が『無名の何の後ろ盾もない若造になんて大事な娘をやれるか』と思っているのなら、おじさんの話で状況が変わってくる。
高城家は街の名士だけれど、おじさんの家である小鳥遊家も変わらないくらいの名家。決して引けを取るものではない。
それを承知の上で賛成できないのは、俺自身が気に入らないってことだろう。
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