偶然から始まった恋の行方~敬と真理愛~

我がために…真理愛

気怠さの中で目を覚ますと、カーテンの隙間から朝日が差し込んでいた。

うぅーん。
体が痛い。
ちょっと無理が過ぎたかな。

昨日の晩、私は自ら敬を求めた。
もちろん今までそんなことをしたことはないし、普段なら絶対にできない行動。
それでも自分の気持ちを止めることができなかった。

来月にはこの街を離れる私は、敬と会うのもこれが最後。
来年春小鳥遊の家に入る敬には新しい生活が待っている。
縁談だってたくさん来るだろうし、私のことなんてすぐに忘れてしまうのかもしれない。
そもそも敬の周囲には素敵な女性が多すぎる。
この間病院で見た女医さんも、敬が戦友だって言う環さんも、私なんて足元にも及ばないくらい大人で、ちゃんとした仕事を持って、自分の足で人生を歩いている(ひと)
私は自分の無力さを痛感したし、彼女たちのような素敵な女性になりたいと思った。
もちろん、今更医者になろうは思わないけれど、自分らしく生きる道を探してみたい。それが家を出る決心をした理由。
きっと、お兄ちゃんもお母さんもおじさんも今の生活が嫌で家を出ると思っているんだろうけれど、そうではない。
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