偶然から始まった恋の行方~敬と真理愛~
「とはいえ、そう言うことをするようになったのはつい最近、私が2人目を妊娠してからなんだけれどね」

なるほど、それって太一君なりのアピールかもしれない。
お母さんかまってって、サインを出しているのかも。

「もう少しすれば落ち着くだろうし、エスカレートするようなら主人に相談するつもり」
「そうですね」
それがいい。

先月2人目の女の子を出産した環さんは産前産後の休養のために小鳥遊邸に滞在している。
週末には皆川先生も顔を出しているけれど、やはり太一君は寂しいのかもしれない。

「昨年仕事に復帰するまで私と2人の生活だったし、職場復帰から産休までのドタバタで太一にかまってやれないこともあったから、きっとその反動だと思うわ」

なるほど、そうかもしれない。
もともと消化器科のドクターとして働いていた環さんは太一君出産の際育児休暇を長めにとっていた。
仕事に出れば太一君との時間もとれないだろうから3歳までは母親の手で育てさせたいと言う皆川先生の配慮だったと聞いた。
しかし、職場復帰したと思ったら2人目の妊娠が発覚。結局半年も働かずに産休に入ることになった。

「色々大変ですね」
「まあね、仕事と子育ての両立って本当に大変」

普段から専業主婦でおばさまと同居している私でさえ子育てでクタクタなのに、仕事を持った核家族って本当に想像を絶するものがあると思う。
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