偶然から始まった恋の行方~敬と真理愛~
皆川先生の後ろを歩いていたのは、真理愛だった。

何でここにと思ってから、ああ、あの患者は真理愛のお父さんだったのかと気が付いた。
俺も一度会ったことがあったはずなのに、完全に忘れていた。
顔つきもすっかり変わっていて、気が付かなかった。

「杉原先生、娘さんがみえたから病棟に上がるね」
「はい。あとで僕も顔を出します」

ゆくゆくは内科病棟に転科することになるだろうが、容態が落ち着くまでしばらくは救急病棟での入院になる。
その間は俺もかかわることになるだろう。

ベットサイドでスタッフから入院の説明を受ける真理愛。
この間にホテルですれ違った時よりも大人っぽい印象だ。
あの時はワンピース姿で、髪も降ろしていたからな。
それにしても、綺麗になったな。
4年前まだ高校生だった時のあどけなさはもうない。
今はもう指一本触れることのできない存在になってしまった。

「杉原先生お願いします」

気持ちの揺らぎそうな俺に、スッタフの声がかかる。

「はい」

今の俺には感傷にふけっている時間はない。
さあ気合を入れるぞと立ち上がり、花見先生と2人診察へと戻った。
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