偶然から始まった恋の行方~敬と真理愛~
「どうぞ」
と案内された和室には、すべに3人の人が待っていた。

まずは、お見合い相手の田中敦(たなかあつし)さん。
とっても真面目そうな銀行員。
今は政治家のお父様の後を継ぐために勉強中で、将来的には政治の道に転向し選挙に出る予定だとか。
身長も180センチ超えで、外見も悪くない。
コンパに行けばモテそうな、大人な印象の人。
こんな人がお見合い相手なんて、不思議。

そのお隣に50代後半くらいかな、品のよさそうなご両親。
「真理愛さんはとっても奇麗なお嬢さんね」
「お母様に似てべっぴんさんだ」
ニコニコしながら話しかけてくださる。

私が高城家の評判の良くない娘なのは知っているはずだし、血のつながりのない連れ子なのもわかっているはず。それでもお見合いに乗り気なのは、高城家がこの街に大きな影響力を持っているから。
間違っても私の魅力ではない。
そう思うとむなしくて、私はどこか人ごとのような気がしていた。
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