偶然から始まった恋の行方~敬と真理愛~
「真理愛ちゃん、本当にいいのかい?」
途中中座してお手洗いに立った隙に、おじさんに聞かれた。

「大丈夫です」 
「無理するんじゃないよ」

ママの旦那さんであるおじさんはとっても優しい。
いつも私に気を使ってくれるし、どんなことをしても怒られた記憶がない。
まあ、いつもママが過剰にキーキー言っているから、おじさんが口を挟める余地が無いんだろうけれど。
そもそも今回のお見合いは、おじさんのお父様である高城のおじいさまからのもの。じゃなければ、まだ大学3年生の私にお見合いの話なんて来るはずがない。
おじさんだって、実の父親とは言えおじいさまに反対しにくいんだろう。

「本当はまだ手元に置いておきたいんだ。だから、嫌なら断ってもらっていいよ」
嫉妬深いママがいないところで、おじさんは言ってくれる。
でも、
「大丈夫です」

私は早く家から出て行きたい。
それが正直な気持ち。

私はもともと学校が好きじゃなかった。
今は大学生だけど、高校も休みがちで出席日数もギリギリで卒業した。
それでも、ママがどうしてもって言うから大学に進んだ。
来年は就活で、おじさんからはうちの手伝いでもすればいいよって言ってもらっている。そんな矢先のお見合い話。
もちろん今すぐに結婚する気はないけれど、なるようになれって感じ。
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