偶然から始まった恋の行方～敬と真理愛～
ママが作ってくれる野菜スープ。
よけいな調味料は使わずに、時間をかけてゆっくりと煮込んだ優しい味。
もちろん栄養があるし、手間暇かかっているのもわかっているんだけれど、

「セロリは入れないでっていつも言っているのに」
絶対にこれはママの意地悪だと思う。

「いいじゃないの、栄養があるのよ」

そう言う問題じゃない。
他には好き嫌いのない私が唯一食べられないセロリを、寝込んでいるときの食事にわざわざ入れる意味が分からない。

「うーん、やっぱり無理」
一旦口まで運んだもののどうしてもセロリの臭いが我慢できなくて、スプーンを置いた。

「ダメよ、食べないと」
ママは困った顔をしているけれど、
「だって、」
嫌いなんだもの。

「真理愛ちゃん、食べないと薬も飲めないし、薬が飲めないと点滴は外せないよ」
「えぇー」

おじさん、ずるい。
そんなこと言われたら食べるしかないじゃない。

「ほら、食べなさい」
もう一度ママがスプーンを差し出す。

私もあきらめて、息を止めながらスープを口に運んだ。

最近、おじさんに押され気味。
敬さんの部屋に泊まっていたことを叱られてから、ずっと頭が上がらない。
自分が悪いんだから仕方がないとは思うけれど、ママは調子に乗って何でもおじさんに言いつけようとするし、本当にやりにくくて仕方ない。
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