偶然から始まった恋の行方~敬と真理愛~

忘れたい過去…真理愛

翌日土曜日。
お父さんは無事転院の日を迎えた。

転院先は市内の中心から外れた療養型の病院。
そこで半年くらい養生して、最終的にはリハビリのできる施設に入ることになっている。

「お加減いかがですか?」

いつものように病室へと入ってきたのは消化器科の上田先生。
内科病棟に移ってからは主治医としてお父さんの治療をしてもらっている。

「上田先生、色々お世話になりました」
「いえいえ、患者さんの回復力と真理愛さんの献身的な看病のお陰ですよ」
「そんな・・・」

私はただここにいただけで、褒めてもらうようなことは何もしてはいない。
全ては先生方のお陰。

「できれば転院前に、皆川先生にご挨拶したかったのですが」

皆川先生にも本当にお世話になった。
私がお父さんい付き添いをしたいと言った時、みんな反対だったのに皆川先生だけは私の味方になってくれた。
だから、私はお父さんに付き添うこともできた。

「皆川先生は週3回勤務の嘱託医だから、今日はお休みなんですよ」
「そうですか」

残念。
最後にお礼が言いたかったのに。
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