昼休みは教室に残って勉強をすることがほとんどだったが、今日は久しぶりに志麻と共に司書のみどり先生のところへ行って息抜きをしようということになり、桃子は東棟の図書室へと向かった。

冬の東棟の廊下は普段に増してキンキンに冷たい。

図書室の扉を開けて中に入ると、室内の温かさにとろけそうになった。

「よ!」

先に来ていた志麻がみどり先生が座るカウンターの横に立ってこちらに軽く手を挙げた。

「ももちゃん久しぶりね~!」

「なかなか来れなくてすみません」

桃子が謝ると、みどり先生は笑顔で首を横に振った。

「いいのよ。もう図書委員も三年生は引退だからね。今はほら、こうやって新米の図書委員さんが足繫く通ってくれているわ」

そう言ってみどり先生が奥の書棚の方を見る。

みどり先生の視線の先を追うように奥の書棚を見ると、そこには本を棚に戻す作業を行う一年生の吉野若菜の姿があった。

「若菜ちゃん!」

桃子が驚いて声を上げた。

桃子の声に気が付いた若菜がこちらに笑顔で駆け寄ってくる。

「はわ!山吹先輩!若菜、先輩のお仕事を引き継ぎたいなと思って図書委員になっちゃいました!」

手芸部でたった一人の一年生である吉野若菜は、後輩三人組の中でも特に桃子を尊敬している。

驚きと喜びで目を丸くしている桃子と、そんな桃子を見て嬉しそうな若菜の様子を見てみどり先生と志麻も満足そうな笑顔だ。