それからというもの、桃子と若草の間で本の貸し借りは定期的に続いていった。

段々と月曜日に桃子が貸して、金曜日に若草が返すというリズムも出来上がった。

もちろん、本の間にはお互いにメモを挟んだ。

今ではメモ用紙から便箋へと紙の大きさは変化し、二人が書く内容も本のことだけに留まらなくなっていた。


《今週の木曜日にある数学の小テストには、図形の問題が出るって違うクラスのバスケ部の友達が言っていた。そこの配点はデカいらしいから勉強しておいた方が良さそうだぞ》

《先週の給食で出たみかんゼリー美味しかったですね。しまちゃんが、じゃんけんに勝って二個も食べたと言っていました。とっても羨ましかったです》

《山吹は好きなテレビ番組とかある?俺は水曜のお笑い番組が好き》

《私は日曜の夜にやってる動物番組が好きです》

《若草君は何色が好きですか?》

《俺は水色が好き。山吹の好きな色は何?》

《私は黄色が好きです。水色、空とか水とかの素敵な色ですよね》


いつしか本を貸す時、返す時はなるべく他の生徒の注意が別のところに向いている時に、さり気なく行うことが暗黙のルールとなった。

その分、本に挟んだメモで盛んに会話した。

学校のことや私生活のこと、思っていることや考えたことを、毎週毎週交換し続けた。

それは本の感想やお礼を言い合うメモから、二人の日々の記録と気持ちを交換し、共有し合う交換日記へと形を変えていったのである。