ひとりぼっちの花娘は檻の中の竜騎士に恋願う

Side Ricardo

(あー、ドジったな)

 リカルドは敵国であるガヴェアの王都まで連行され、広場に置かれた大きな檻の中に入れられた。

 どうにも悪趣味なことに自分を見せ物にして国民にある屈辱だった敗戦の記憶を少しでも消したいらしい。ガヴェアは魔法大国であることでも知られ、ここの近隣諸国では破格の強さを誇ってはいるが、守護竜イクエイアスの加護を待つ無敵の竜騎士団には敵わなかったのだ。

 ヴェリエフェンディとしてはふっかけられた喧嘩を買っただけの戦争ではあったが、ところが変われば見方も違うこちらの国にも言い分があるだろう。

 これまでの数多くの戦闘の中で多くの命を奪った自覚のあるリカルドは、それなりに覚悟はしていた。

 戦闘職である竜騎士になった時から、戦いの元、いつ自分の命の灯が消えても仕方ないと、そう考えていたのだ。

 まさか敵国に囚われてこういう最期を迎えることになるとは思わなかったが、予想もつかない未来、それも運命なのだろう。
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